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ミニを讃える

日本でこれまでに一番好まれた外車は何でしょうか。まず候補に挙がるのは、由緒あるミニでしょう。ミニは、これまで生産された中で最も成功を収めた革新的な車です。

ミニの設計は、1956年のスエズ動乱による燃料不足に端を発しています。ブリティッシュ・モーター・コーポレーション (BMC) の社長は、高級車の販売不振により、経済的な小型車のニーズが高まると予測し、「きちんとした小型車」を作るための基本的な設計要件を定義しました。設計チームのリーダーに選ばれたのは、ギリシャ系イギリス人のアレック・イシゴニス氏(後のアレック卿)でした。

このチームが設計した車は、革新的でした。従来型の縦置きエンジンの代わりに、向きを90度変えた横置き設計を実現したのです。さらに、変速機をエンジンの下に設置し、2つの小径前輪 (10インチ) を駆動しました。また、ラジエーターは前ではなく横に取り付けました。この設計によって、「平面図」の80%を占める広い空間を乗客と荷物のために確保できるようになったのです。

さらに室内空間を広げるために、ドアやブート (boot) (アメリカ英語ではトランク[trunk])リッドのヒンジと同じように、溶接継目を外側にしました。スライド式窓をドアの中に入れることによって、収納ポケットを付けることができました。さらに、トランクリッドのヒンジを下部に取り付けることにより、トランクを開けたまま走行でき、荷物の収容スペースを広げることができました。

サスペンションもユニークで、一般的な金属製スプリングの代わりにラバーコーンを採用しました。さらに、四隅にタイヤを配置したことによって、優れたハンドリング (道路上での車の動き) を実現し、スポーツの分野で目覚ましい成功を収める基盤となりました。

1959年、BMCは「オースチン・セブン」と「モーリス・ミニ・マイナー」という2大ブランドの名で車を発売しました。「セブン」と言えば、1920~30年代のオースチンの小型大衆車「オースチン7」のことであり、「ミニ・マイナー」は、これより少し大きい大衆車「モーリス・マイナー」のことを指します。

当初の販売は振るいませんでしたが、1960年代に入って売り上げを伸ばしました。映画スターやミュージシャンが購入したことで一気に人気に火がつき、ファッションアイコンとなったのです。ミニは、英国の “Swinging Sixties” (1960年代にロンドンで流行したファッションや文化を表す言葉) の象徴の1つとなり、おしゃれな有名人は必ず持っていたようです。

この成功を機に、様々な種類のミニが生産されました。その中で恐らく最も有名なのは、F1のデザイナー兼技術者であるジョン・クーパーが設計したミニ・クーパーでしょう。ミニ・クーパーは、モンテカルロ・ラリーで3度の優勝を果たしました。また、その他にも数々のモータースポーツで、大きな成功を収めています。

この他の車種には、「モーリス・ミニ・トラベラー」と「オースチン・ミニ・カントリーマン」があります。この2つは、ステーションワゴンタイプの車で、リアパネルに沿って木枠が付いていました。バン/ピックアップタイプのミニや「ミニ・モーク」(オープントップの「ジープ」型の車) もありました。この他にも多くの特別仕様車が、長年にわたり生産されました。

BMC (その後、ローバーグループに買収された) はまた、ライレーやウーズレーのブランド名でもミニを生産しました。「ライレー・エルフ」と「ウーズレー・ホーネット」は、荷物の収容スペースを広くするため、長いリアウィング (フェンダー) や伝統的な縦型のラジエータグリルを備え、高級仕様になっていました。

ミニは英国で最も人気のあった車で、2000年の生産終了までに530万台が生産されました。日本の外車輸入台数がピークに達した1990年代には、ミニの販売台数は英国より日本の方が多く、1990年代初期に生産された4万台の多くは日本へ輸出されました。1999年には、20世紀で最も影響力のあった車を選ぶ投票で (フォードのモデルTに続き) 2位に選ばれ、ミニの革命的性質が認められました。それ以来、ミニの横置きエンジンと前輪駆動方式は、ほとんどのコンパクトカーに採用されています。

BMWミニなどの輸入車は、依然として日本で人気がありますが、ミニほど人気を博した外車が他にあるでしょうか。車種の数や生産期間の短さを考えると、今後そのような外車が現れる可能性は低そうです。

ミニは伝説の車であり、ドライバーたちに愛され、熱狂的ファンも存在します。日本各地にミニの専門店や工場があり、予備部品が簡単に入手できるおかげで、ミニは今後もずっと日本の道路を走り続けることでしょう。