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イギリス総選挙2017

今回もです!専門家たちは大きな選挙の結果を正しく予想することができませんでした。彼らは、前回の総選挙、ブレグジットの是非を問う国民投票、アメリカ大統領選でも結果の予想を外しました。われわれは、専門家を一新するべきではないでしょうか?

さて、何が起きたのでしょうか?保守党党首であるテリーザ・メイ首相は、議会で過半数を取り、“ハードブレグジット”の交渉立場を強化するために、(これまで繰り返し実施しないと言っていましたが)解散(早期)総選挙の実施を求めました。結局、メイ首相は、労働党と、とりわけその党首であるジェレミー・コービン氏に対する支持の急増によって議会における過半数を失いました。

トーリー党(保守党)は12議席を失い、下院の650議席中318議席を獲得するにとどまり、過半数に8議席足りませんでした。労働党は新たに30議席を獲得し、合計262議席を勝ち取りました。UKIP(イギリス独立党)は、議席を獲得することができませんでした。SNP(スコットランド国民党)は21議席を失い、自由民主党は4議席増やして12議席を獲得しました。

つまり、いずれの党も過半数に満たない“宙ぶらりんの議会”となり、メイ首相は少数与党として議会を運営しなければなりません。メイ首相は、考え方の古い保守的な北アイルランドのDUP(民主統一党)に支持を求めていますが、DUP は予算などの重要な表決においてメイ首相を支持する代わりに、大きな見返りを求めています。

どうしてこのようになったのでしょうか?4月には、トーリー党は世論調査で労働党に20ポイントリードしていました。メイ首相は、選挙の翌週にブレグジットの交渉が始まる予定であるため、早期に選挙を行うことによって、彼女の立場を強めることができると踏んでいました。しかし、そうはいきませんでした。メイ首相は政策転換を強いられ、テレビの党首討論会への参加を拒み、演説の際にはこわばって落ち着かない様子でした。彼女が党首になれたのは、効果的な選挙キャンペーンのためではなく、他の候補者たちが脱落していったためであったことを思い出してください。メイ首相はマスコミや国民に対する返答が常に曖昧で、現実とは裏腹に「強く安定した政府」という言葉をしきりに繰り返すのみでした。

対照的に、コービン党首は精力的に選挙キャンペーンに取り組みました。結局のところ、コービン党首は今回の選挙戦に自分の政治生命をかけていました。序盤は支持率が低かったのですが、それは、自身の党の議員の多くがコービン党首の政策では選挙に勝てないと考え彼を信用していなかったことや、新聞で悪評を受けたことなどが原因でした。イギリスのほぼすべての全国紙がトーリー党を支持し、機会があるごとに“クレイジーなコービン”に嘲笑を浴びせました。国民の多くがコービン党首をあまりよく理解していなかったということです。メイ首相と違って、コービン党首は大規模な集会で演説を行い、テレビの党首討論会に参加し、マスコミの厳しい追及にも冷静な態度を崩しませんでした。国民は、メイ首相や他の多くの政治家とは異なり、質問に率直に答える彼の誠実で真摯な取り組みに心を打たれ、魅了されました。公共事業への投資を増やすことと何年も続いている緊縮政策に終止符を打つことへのコービン党首の要求は国民の気持ちを捉え、特に若者は熱烈な支持者となりました。その結果、コービン党首は1945年以降で党史上最大の得票数の増加を記録しました。

今後はどうなるのでしょうか?メイ首相は非常に弱い立場にあります。トーリー党は、普段は、失敗した党首をすぐに辞めさせるのですが、ボリス・ジョンソン氏が“権力を握る”ことを恐れて多くの党員が躊躇しています。メイ首相は、自身の党内の“EU残留派”による新たな反対にさらされながらブレグジットの交渉に奮闘しなければなりません。イギリスがどのように交渉を進めていくのか非常に不透明です。それほど遠くないうちに別の総選挙が行われる可能性もあります。ブレグジットが永久に“沈没させられる(scuppered)”(※1)ことを望んでいる人々もいます。

コービン党首は現在人気絶頂です。この勢いを維持して、首尾よく政府を下院で敗北に追い込み、新たな選挙の実施に持ち込むことができるでしょうか?時間が経てば分かるでしょう。

(※1)イギリス英語:(船が)乗員によって故意に沈められること。何かが完全に破壊されること、駄目になることを示すのに使われる。