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英国(UK)はEUを離れるか

前回は「スコットランドは英国を離れるか」でした。今回は「英国は欧州連合(EU)を離れるか」です。最近の欧州議会選挙のいわゆる「政治的大変動(political earthquake)」をもってすれば、可能性は以前より大きくなっています。こうなった理由をまずは背景から見ていきましょう。

先日の英国総選挙ではいずれの政党も過半数の議席を獲得できず、保守党と自由民主党による連立政権が野党・労働党とともに樹立されました。自由民主党はEUを強く支持していますが、保守党内には以前から英国のEU加盟に対して拒絶・反対する派閥(「欧州懐疑派」)が常に存在していました。したがって、保守党出身のデーヴィッド・キャメロン首相は次回総選挙で保守党が勝利すれば英国のEU条約の条件を再交渉し、結果を国民投票にかけてEU残留の決定を国民に委ねると約束しました。この公約は保守党内の反EU派をなだめることを意図したと同時に、保守党からイギリス独立党(UKIP)へ票が流れるのを阻止しようとしたものです。

UKIPは英国のEU脱退を主な目的として、1993年に結成されました。以来、ゆっくりとではあるものの着実に成長し、各地方議会で議席を獲得しています。総選挙では多数の候補者を擁立してきたものの、いまだに一人の下院議員(MP)も出していません。しかし、1999年の欧州議会議員選挙では、7%の票を得て3議席を獲得しました。以降、欧州議会議員選挙での得票率は着実に増え、2004年の選挙では16.1%の得票率で12議席を獲得、2009年には16.6%で13議席、2014年5月には27.5%の得票率で大量24議席を獲得し、欧州議会における英国の最大政党となりました。

英国の国政選挙において、労働党と保守党のいずれかが勝利しなかったことは過去100年で初めてです。一部の専門家はUKIPの得票はほとんど保守党から流れたと推定していますが、票はあらゆる党から流れているように思われます。事実、自由民主党はほとんど全滅状態で、緑の党を下回るわずか1議席に留まりました。

最近の地方選挙と欧州での大勝利により、UKIPは今や英国政治に強い影響力を持つようになりました。初めてのMP誕生も近いと予想されています。英国をEUから脱退させるには議会の過半数が必要なためまだまだ道のりは長いものの、UKIPの他党に対する影響力は非常に高まっています。3政党の党首全員が激しい批判を受けており、3者とも交代する可能性があります。英国内には強硬な反欧州勢力が存在し、各政党は対処の仕方を決める必要があります。特に保守党の方向性が問題になるでしょう。UKIPへ流れた票を取り戻そうと、さらに「欧州懐疑派」寄りに舵を切るでしょうか。その場合、党内の親欧州派を遠ざけて党を2つに割るでしょうか。労働党は欧州の一員としての地位をさらに強硬に推し進めて、党内の「欧州懐疑派」を遠ざけるリスクを取るでしょうか。自由民主党はどうでしょう。同党は長い苦闘を経て、ようやく英国政界の第三勢力として連立政権についたところです。各党の最も親欧州的な勢力は、地方選挙や欧州議会選挙で壊滅的な打撃を受けました。親欧州派は第三勢力であるUKIPに取って代わられるのでしょうか。

最近の各選挙が長期的にどのような影響を及ぼすのかはまだ分かりませんが、大きな変化が迫っていることは間違いありません。英国がEUに残留するかどうかは不明です。英国内に工場を持ちEU全域向けの製品を生産している日産やホンダといった主な日本メーカーは工場を大陸側に移すでしょうか。一つだけ確かなことは、今後数か月の英国政治が大変興味深いものであり、来年の総選挙で大きな変化が起こる可能性があるということです。

さらに言えば、反欧州政策を掲げる他のヨーロッパの国の政党も欧州議会選挙でその立場を強固にしました。この傾向が続けば、EU自体の崩壊につながるおそれもあります。