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英国政治に大変な変化が起きようとしているのか

11月、英国独立党(United Kingdom Independence Party:UKIP)はロチェスター選挙区の補欠選挙において、英国下院で2つめの議席を獲得しました。UKIPはこの1年の間に2回の補欠選挙で保守党の前下院議員と争って、両方の選挙に勝利しました。部外者には特に意味がないかもしれませんが、ウェストミンスター宮殿にはかなりの動揺が走りました。これは英国政治における新勢力の台頭を意味するのでしょうか。少し解説しましょう。

英国には現在3つの主要政党と、スコットランドにスコットランド国民党(Scottish National Party:SNP)があります。

保守党は伝統的に企業や地主を支援してきた右派政党です。反EU感情を抱く強固な国家主義者集団を抱えています。スコットランドでは全面的に支持を失いました。

労働党は「かつては左派・現在は中道」の政党で、伝統的に労働組合を支援してきました。最近は企業とも手を組もうとしています。「新しい労働党(New Labour)」による変革を不快に思っている従来の左派集団を抱えています。この党もどちらかといえば反EUです。

自由民主党は旧自由党と社会民主党(労働党の離脱派)が合併してできた政党で、ゆっくり規模と勢力を拡大しながら、現在は保守党と与党連合を組むまでになりました。急進的傾向を持つ中心政党です。EUを強力に支持する唯一の政党ですが、UKIPが支持を拡大するにともなって人気が低下しています。

UKIPはその名が示す通り、反EU・反移民を掲げる政党です。過去数年間の地方選挙と今回の国政選挙で急速に躍進を遂げました。理由の一つに、有権者が主流派政党に幻滅し始めたことが挙げられます。

英国内におけるEUからの移民が英国の福祉制度に便乗していると言われていることも、UKIPが躍進した理由の一つになっています。確かに一部はそうでしょう。しかし、移民は経済にとってプラスでありマイナスではないというのが専門家の一致した意見です。また興味深い事実として、英国など数ヶ国で実施した最近の調査によると、元から暮らす住民はコミュニティ内の移民数を実際より多く見積もることが多いという結果が判明しています。

そのほかに、EUがUKに押しつけている何百もの新規制(多くは馬鹿げたもの)が嫌悪されていることやEUの将来に対する方向性が理由として挙げられます。ドイツの首相、アンジェラ・メルケルはEUの一層強固な統合を推進しており、程度の低い統合による緩やかな関係を望む保守党党首デーヴィッド・キャメロンなどEUの多くの国から反対されています。実際、ほとんどの親EUである英国の政治家もこれと同じ立場と考えられます。

カリスマ的リーダーであるナイジェル・ファラージ(本人は移民の子孫)が率いるUKIPに対する急速な支持拡大は、全政党の政治家がEUと移民の擁護をしぶしぶ展開している態度が有権者に弱々しく見えたことが理由と考えられます。この問題に関するかぎり、ファラージは国家的議題に最も影響力を及ぼし、保守党議員を震え上がらせました。いまや少なくない保守党議員が、所属政党の指導者よりもUKIPと共通点が多いと考えています。キャメロン首相は反抗的な党を一つに保ったまま、穏健な状態を維持しようと必死になっています。しかし、2015年5月の次回総選挙の前に、保守党の一部が離党してUKIPに加わることで、同党が分裂する危険があります。

しかし、労働党は保守党の弱点を利用できるほど立場がよくありません。党首のデイヴィッド・ミリバンドに人気がなく、かつて労働党の牙城であったスコットランドも、労働党ではなくSNPの議員をウェストミンスターに送り出す可能性があります。

結果として大きな問いが残ります。
UKIPはこのまま支持基盤を拡大し続けるのでしょうか。
保守党は分裂するのでしょうか。
SNPはスコットランドの票を独占するのでしょうか。

この答えが「イエス」かつ多くのコメンテイターも同調するのであれば、英国政治は大混乱と激変に陥ることでしょう。どの党も過半数が獲れず、連立パートナーを求めて果てしない入れ替えが続くと予想されます。UKIPと(新党首の下の)残りの保守党が連立を組めば、英国はUK(連合王国)を未知の領域に向かわせるかもしれません。

将来がどうなるかは誰にも分かりません。座して待つしかありませんね。