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タトゥー(入れ墨)

あなたはタトゥーを入れていますか。あるいは、タトゥーを入れている人を知っていますか。ご存じのとおり、日本では、タトゥー(入れ墨)と言えば犯罪者、特にやくざを連想し、否定的なイメージがあります。明治政府による入れ墨の禁止は1948年まで続きました。2012年6月には、大阪市が職員に対して新たな入れ墨を入れることを禁止しました。事の発端は、市職員が自分の入れ墨を児童に見せて怖がらせたことだと言われています。

タトゥーを入れる背景には、何があるのでしょう。タトゥーには長い歴史があり、世界の様々な文化に広く浸透しています。アイヌやマオリをはじめとするポリネシア系の多くの民族では、タトゥーが身分や階級を示す重要な印と見なされ、文化の中核をなしていました。タトゥーはエジプトのミイラからも見つかっています。

歴史を見ると、ローマ人と同じく中国人も犯罪者に対してタトゥーを入れていました。ナチスの強制収容所では、被収容者には識別番号のタトゥーが入れられました。

近代におけるタトゥーの歴史はどうでしょう。19世紀、彫師は世界中の港町で、特にヨーロッパや米国の船員から人気がありました。当時はタトゥーと言えば船員のイメージが強かったのです。米国では、1860年にボストンに上陸したドイツ人移民のマーティン・ヒルデブラントが、公文書に記録された初の職業彫師とされています。アメリカ南北戦争中、彼は両軍の多くの兵士にタトゥーを入れました。英国の公文書に記録された初の職業彫師は、1870年代にリバプールの港町で登録されています。タトゥーは船員を中心に広がり、次第に下層階級や犯罪者を連想させるものとなりました。一方で、上流階級の間でも流行しました。

現代において、タトゥーは化粧用や実用、医療用など様々な目的で使われるようになっています。化粧用タトゥー(アートメイク)は、落ちないメイクとして、あるいはシミ隠しのために利用されています。実用としては、アルツハイマー患者に名前のタトゥーを入れ、迷子になった時の捜索に役立てています。医療用のタトゥーは、繰り返し放射線治療を受ける場合に、器具の目標位置を示したり、医療情報を伝えたりするために使用されています。

また一方で、1970年代以降、タトゥーは次第にファッションの主流になっていきました。タトゥーは性別や階級を問わず、10代後半から中年までの幅広い年齢層に浸透しています。2006年に実施された調査によると、米国人では、18~25歳の36%、26~40歳の40%、41~64歳の10%がタトゥーを入れていました。また、2010年に行われた別の調査で、オーストラリア人では、30歳未満の25%がタトゥーを入れていることが判明しました。

タトゥー人気がますます高まっているのは確かです。今やタトゥーは隠すものではありません。昔の船員は恐らく、胸や二の腕など普段は人目につかない場所にタトゥーを入れていましたが、現代では、非常に目立つ場所にタトゥーを入れます。例えば、英国プレミアリーグの試合を見るだけで、選手の腕や脚に刻まれたタトゥーがいくつも目に入るはずです。

ここで面白い疑問が湧いてきます。2020年、タトゥーを入れた大量のファンやアスリートが日本に押し寄せたら、日本はどう反応するのでしょう。目立つタトゥーを入れた選手が画面にクローズアップされたら、どうするのでしょうか。子どもたちは悲鳴を上げてテレビの前から逃げるのでしょうか。タトゥーを入れた観光客はプールや銭湯の利用を拒否されるのでしょうか。日本人はタトゥーを入れた訪日外国人に対して不快感を覚えるのでしょうか。それとも、タトゥーが急に上流社会でも主流となり受け入れられることになるのでしょうか。

これらは興味深い疑問です。日本人がタトゥーを入れた訪日外国人に対して、礼儀正しく歓迎の意を示すことは確かですが、タトゥーに対する根本的な考え方が変わるかどうかは、まだ分かりません。