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英国総選挙で起きたビッグサプライズ

先に実施された英国総選挙の結果は、あらゆる世論調査の予測をあっさり裏切るものでした。投票日の朝になっても、世論調査は2つの主要政党が「互角」で、再び「宙吊り国会(ハング・パーラメント)」になると予想していました。しかし、結果はまったく違っていました。保守党(別称:トーリー党)が「絶対多数」を獲得する大勝を収め、かつての連立パートナーである自由民主党(LDP)なしで単独政権を握ることが可能になりました。

「世論調査会社」がなぜ間違えたかは後ほど考えるとして、まずは結果を見てみましょう。

ちなみに、英国の総選挙は「単純小選挙区制」です。英国での欧州議会選挙とは異なり、比例代表制はまったく採用されていません。選挙区でもっとも多くの票を得た候補者が、「議席」を獲得します。いずれの選挙区でも選出される議員は1人だけです。

首相の地位を失うおそれすら噂されていたデービッド・キャメロンですが、結果的に保守党は改選前より28議席多い331議席を獲得しました。絶対多数に必要な326議席を5議席上回り、その結果、キャメロンの立場は以前より強固になりました。

労働党は24議席を失い、計232議席へと後退しました。敗因の一つとして、スコットランドで3議席を除く全議席を獲得したスコットランド民族党(SNP)の躍進を挙げることができます。SNPは50議席増やし、計56議席となりました。

最大の敗者はLDPであり、48議席を失った結果、わずか8議席となってしまいました。

少数政党では英国独立党(UKIP)が支持を広げたものの、補欠選挙で得た2議席中1議席を失いました。緑の党は現有の1議席を維持し、ウェールズではプライド・カムリ(ウェールズ党)が改選前の3議席を守りました(北アイルランドの結果は、政治風土が異なるため、ここでは言及しません)。

得票率で見ると、全体像は違って見えてきます。各政党の得票率は、保守党36.8%、労働党30.4%、UKIP12.6%、LDP7.9%、SNP4.7%、緑の党3.8%、プライド・カムリ0.6%でした。LDP以外の全政党が得票率を伸ばしています。このように得票数と獲得議席が一致しないことが、比例代表制を要求する人々の論拠の一つになっています。

選挙結果の衝撃はすぐに広がりました。労働党党首エド・ミリバンド、LDP党首ニック・クレッグ、UKIP党首ナイジェル・ファラージの全員が辞任しました。現在はいずれの党でも、何が間違っていたのか、誰に責任があるのか、次の党首は誰か、今後何をすべきか、盛んに議論しています。結果のショックが大きかっただけに、議論は激しさを増しています。

なぜ世論調査は大きく外れたのでしょう。明確な答えは分かりません。人々が土壇場で考えを変えたのかもしれません。調査員に嘘をついた可能性もあります。多くの専門家が、固定電話によるインタビューへの依存度が高い世論調査システム自体を時代遅れだと指摘しています。ただし、同じシステムでも、スコットランドでは的中し、イングランドでは大きく外れています。

今後はどうなるのでしょう。野党に「大変革」が生じることは確かです。何らかの形での比例代表制を求める声も強まりつつあります。一部で、英国は6政党制の時代に突入したとも言われています。キャメロンについて言えば、保守党が過半数を超えたのはたった5議席です。保守党極右派グループによる「下院後方席」の反乱にあうおそれは残っています。また、公約どおり、EU加盟継続に関する国民投票を実施する必要にも迫られています。さらに、SNPとの疎遠な関係から考えて、スコットランドでUKへの残留を問う国民投票が再び行われる可能性もあります。5年後、キャメロンはEUを離脱した(スコットランドの独立により)今より小さくなった英国の首相になっている可能性もあるのです。そのときどうなっているのか、今は誰にも分かりません。