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感心しない訳――「背理法」――行き過ぎた翻訳

先日、ジャパンタイムズで「gyoza(Japanese ravioli)」という表現を見て非常に驚きました。この訳注は余計なばかりか不適切です。餃子は中華料理であるし、パスタでもありません。書いた人は(それ以上に編集者は)なぜ「餃子」を説明する必要があると感じたのでしょう。「gyoza」をGoogleで検索すると444,000件もヒットします。つまり「gyoza」は見たこともない東洋の不思議な食べ物ではありません。日本の英字新聞は主に英語力を上げたい日本人と在留外国人が読んでいます。「gyoza」で戸惑うのは100万人に1人、しかもオンライン版の読者ぐらいのものでしょう。それなのになぜ説明するのでしょう。ちなみに餃子はよく説明されている単語ですが普通は「dumpling」と言います。

「餃子」と似たような言葉に「居酒屋」があります。「isakaya (Japanese pub)」とされているのをよく見かけます。このおかしな説明がなぜ浸透しているのか理解に苦しみます。書いた人は居酒屋やパブに行ったことがないか、もしくは暗黙の申し合わせにでも従っているのでしょうか。

居酒屋とパブはかなり違います。普通、居酒屋とは仲間同士で安くておいしい料理を楽しむところです。さらに1人用のカウンターもあり、大人だけでなく子供も入ることができます。アルコールが一般的ですが、他にもバラエティーに富んだ飲み物が用意してあります。支払いは普通のレストランのように帰るときにテーブルごとに行います。

パブ(pub)とは「public house」の略で、飲むことを前提としたアルコールの販売許可を受けた場所のことです。居酒屋とは大きく異なります。楽しい雰囲気の中で友人と一緒にあるいは1人でアルコールを飲むところです。食べ物はおつまみ程度しかありません。ほとんどの場合、子供は入ることができません。席は特に決まっておらず、客は立ったり座ったりして、支払いは注文ごとに行います。それぞれの土地には「地元」のパブがあり、地元の人たちが気ままに立ち寄ります。そこに行けば必ず仲間がいて会話を楽しむことができます。

例外として、料理を売り物にしたパブ(ガストロパブ)や日中家族連れでにぎわう庭つきのパブもあります。しかし、種類からすれば、パブとは立ってビールを飲むところで、客はほとんどが男性です。日本で「パブ」と呼べる場所を挙げるとすれば、規模は別として目的が似ている「立ち飲み屋」がそれに当たります。

ではなぜ「居酒屋」を「パブ」、「餃子」を「日本風ラビオリ」と呼ぶのでしょうか。どうやら日本的なものを外国人が理解できる言葉で説明したい、理解を助けたいという気持ちが強いようです。しかし、これまで見てきたようにそれは見当違いです。日本にわずかでもいれば居酒屋で食事をする機会は必ずあるはずです(みなさんが総理大臣なら別ですよ)。

ですから、日本について書く場合、分かりきったことを意味なく説明をするのは避け、日本的なものを西欧の言葉で表現しようとするのはやめてください。どうしても説明が必要なら、一般的な「pork dumpling」や「cheap restaurant」といった言葉を使いましょう。

これ以上「isakaya」=「Japanese pub」という説明を読まされるのは勘弁してほしいものです。